アルミ溶接が難しいわけ

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昨今、自動車関連でのアルミニウム需要が増加しています。それに伴い、ボディショップにおいて軟鋼の溶接しか経験ない方が、道具だけ揃え、軟鋼と同じ感覚でアルミニウムを溶接しようとして失敗したという事例が頻発しています。ここでは、何故アルミニウムの溶接が難しいのか、そしてその対処法を簡単にまとめてみました。

一般的に軟鋼に比べアルミニウムの溶接が難しいとされているのは、アルミニウムと軟鋼の金属特性の違いによるものである。下表(1)は、軟鋼とアルミニウムの物理的性質の違いをまとめたものです。

表(1) アルミニウムと軟鋼の物理的性質
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ご覧のようにアルミニウムは、比強度が軟鋼の約2倍です。従って、強度設計で同じ強度の部品を得ようとする場合、アルミニウムを採用すると軟鋼系材料の部品にくらべ重量を半分近くまで軽量化することができる訳です。これが近年、アルミニウム(合金)を自動車の構造部材に積極的に採用し始めた最大の理由で、今後もこの傾向は加速するものと考えられています。

しかし、この物理的性質の差が、溶接時の難易度を高める結果となり、更に化学的性質の違いとして、アルミニウムは酸化しやすく、耐食性には優れるが、溶接時はこの酸化皮膜が問題となるのです。

軟鋼との金属特性の違いによる溶接時の問題点が次の通りです。

(1)加熱中、酸化しやすい
(2)母材の表面に酸化膜がある
(3)熱集中性が悪く、融点が低い
(4)溶け落ちし易い
(5)ひずみ易い
(6)ブローホールを生じやすい
(7)溶接割れ傾向が大きい

更に・・・
アルミニウムは合金であり、溶加材を使い分ける必要がある。 展伸材(ボディ外板・フレーム等)と鋳造物(ミッションケース等)では、溶接施工法に違いがある。

ボディ外板厚は1mm前後であり、特にアルミニウムの薄物溶接は難易度が高い。

以上の点から、何も下地の無い状態でのアルミニウムの溶接は困難であり、従って軟鋼のみの溶接経験しかないボディマンの方々が失敗してしまうのは当然なのです。

但し、これらの特性や問題点をよく理解し、適切な施工方法と環境の創出により、ボディショップにおけるアルミニウムの溶接は飛躍的に改善することでしょう。

最後に、簡単にその問題点と解決方法を表にまとめました。

問題点
解決方法
加熱中酸化しやすい
高純度アルゴンガスを使用する。
母材の表面に酸化膜がある
溶接の直前に除去作業を確実に行う。
熱集中性が悪く、融点が低い
母材に対する入熱管理を行う。
溶け落ちし易い
母材に対する入熱管理を行う。
ひずみ易い
溶接順序を工夫する等、的確な溶接計画を立てる。
ブローホールを生じやすい
溶接に適した環境作りや、母材・溶加材の管理。
溶接割れ傾向が大きい
母材と溶加材の組合せに、細心の注意を図る。

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